マンション売却査定の嘘に注意！安心して取引するためのコツをご紹介

査定前に知っておくべきポイントと注意

マンションの査定を依頼する前に、まず「簡易査定」と「訪問査定」という二つの方法があることを知っておきましょう。簡易査定は、インターネット上や資料の情報をもとに、地域の取引事例や物件の基本情報から概算価格を算出する方法です（机上査定とも呼ばれます）。手軽に比較できる反面、室内の状態や周辺の状況など現地の個別事情が反映されにくく、実際の価格と差が出ることがある点に注意が必要です。一方、訪問査定は現地へ査定員が出向き、室内の状態や共用部分の管理状況、立地や設備の状態などを総合的に評価して価格を提示します。そのため、より信頼性が高いとされていますが、事前準備をしておくことでスムーズな査定が期待できます（簡易査定・訪問査定の比較）。

査定の信頼性を高めるためにも、簡易査定と訪問査定の違いを理解し、目的に応じて使い分けることが大切です。

次に、売却相場を事前に把握しておくことも重要です。周辺の売り出し価格や成約価格を調べておくことで、査定額が極端に高すぎたり低すぎたりしないか、自分でも判断しやすくなります。具体的には、国土交通省の「レインズマーケットインフォメーション」や「不動産情報ライブラリ」、あるいは販売中のチラシや不動産情報サイトで、自分のマンションと築年数や間取りが近い物件の価格をチェックしておくとよいでしょう。これにより、査定額に納得感を得られるだけでなく、不当な査定額を見抜く手助けにもなります。

また査定を受ける際には、事前準備が欠かせません。具体的には以下の点に注意してください：登記済権利証・登記事項証明書や間取り図、購入時のパンフレット、リフォーム履歴、インスペクションの報告書などを用意しておくこと。また、室内や玄関・水回りなどを必要最低限きれいに整え、査定員が確認しやすい状態にしておくとよいでしょう。ただし、過度な掃除や大掛かりなリフォームは必ずしも査定価格に反映されるとは限らないため、実数に基づいた判断が望ましいです。さらに、住宅ローンの残債がある場合には、その額も予め確認し、査定価格とのギャップで資金計画に無理がないか把握しておきましょう。

査定結果を受けたあとの確認事項と注意点

まず、査定結果を受け取ったら、「査定額の根拠」を必ず詳しく確認することが大切です。不動産会社ごとに査定の基準や参考にする事例が異なるため、根拠を明示してもらうことで、その査定額が妥当かどうか判断しやすくなります。具体的には、「近隣の成約事例はいくつありますか」「築年数や方角はどのように評価されていますか」「管理費や修繕積立金の状況は査定額にどのように反映されていますか」などを尋ねると良いでしょう。

次に、住宅ローンの残債や税金、修繕積立金などの金銭的要素と査定額に大きな差がないか確認することが欠かせません。たとえば、査定額がローン残債を下回っている場合には手元資金で補填する必要があるかもしれませんし、修繕積立金の未納があればマイナス査定につながる可能性もあります。これらの項目と照らし合わせて、実質的な手残りがどうなるのか、しっかり確認してください。

また、査定額だけで売却判断をせず、売り出し価格の設定や売れやすさも加味した慎重な判断が求められます。たとえば、相場より過度に高い価格を設定すると売れ残るリスクがあり、逆に安すぎると損になる恐れがあります。売却の目的（「できるだけ早く売りたい」「手残りをできるだけ多くしたい」など）に応じて、価格設定を柔軟に検討する姿勢が大切です。

以下の表に、確認すべき主なポイントをまとめました。

このように、査定結果の裏付けや周辺の状況と比較することで、後悔のない売却判断ができるようになります。売主様にとって大切な資産であるマンションだからこそ、慎重な姿勢と確かな情報確認が肝要です。

複数の不動産会社に査定を依頼するメリットと注意すべき高額“釣り査定”のリスク

マンション売却にあたっては、２～５社ほどの不動産会社に査定を依頼し、比較することが大切です。複数社に依頼することで、それぞれの会社の強みやエリアに関する知見、査定額の根拠が比較でき、より納得のいく判断につながります。

一方で、たった１社だけに依頼すると、その提示額が相場とかけ離れていないか判断しづらく、不当に高額な「釣り査定」にだまされるおそれがあります。「釣り査定」とは、実際に売ることを期待させる目的で高額な査定額を提示し、媒介契約を取り付けようとする行為です。複数社の査定額を見比べることで、そのような不自然な高額査定を事前に見抜くことができます。

信頼できる不動産会社を見極める際には、査定額の提示だけでなく、査定の根拠を明確に説明できるかどうか、担当者の対応は誠実かどうかをしっかり確認しましょう。例えば、近隣の成約事例の提示や市場動向の解説、販売計画の具体性があるかをチェックすることが有効です。

以下の表は、複数社比較の際に注目すべきポイントをまとめたものです。

このように複数社を比較することで、相場に基づいた査定を受ける安心感と、担当者の信頼性を総合的に判断することができます。結果として、無理のない価格で、納得できる売却につなげることが期待できます。

査定トラブルを避けるための具体的な対策と心構え

マンションの査定において、売主（あなた）を守り、安心して進めるための具体的な対策と心構えをご紹介します。まず重要なのは、査定書や説明内容をきちんと記録に残す習慣です。後日、査定内容や担当者からの説明に食い違いがあった場合、書面やメモがあなたを守る証拠になります。特に、インスペクションの結果や設備の状態、ローン残債の有無など重要な情報は、書面化や写真記録をしておくと安心です。

また、査定に際して疑問点や不安があれば、遠慮せず積極的に質問・相談する姿勢が大切です。不明点をそのままにせず、代理する業者に詳しく説明してもらうことで、不要な誤解や後のトラブルを未然に防げます。

さらに、売主ご自身が「売却後にどのくらい手元に残したいか」「いつまでに売りたいか」といった目的や条件を明確にし、査定依頼時に伝えておく心構えも欠かせません。これにより、査定価格や売り出し戦略にも反映され、自分の事情に即した提案が受けられます。

これらの対策を日常的に実践することで、査定トラブルを未然に防ぎ、納得できる売却につなげることができます。安心してマンション売却を進めたい方は、ぜひ参考にしてください。

まとめ

マンションの売却査定においては、事前の準備や情報の収集が非常に大切です。査定方法や相場を理解し、複数の不動産会社に査定を依頼することで、より納得のいく判断が可能になります。また、査定額だけに振り回されず、根拠の確認や自身の条件をしっかり伝えることが後悔のない売却への近道です。疑問や不安はその都度相談し、慎重に対応していくことで、トラブルを未然に防ぎやすくなります。安心して売却を進めるため、正しい知識と冷静な対応を心掛けましょう。